
医局を辞めたい人必見!医局をトラブルなく辞める方法を徹底解説
医局を辞める。それは決して簡単な決断ではありません。真剣に退局を考えている方々には、そこに至るまでのさまざまな理由や事情があるでしょう。医師の中には転職して後悔する人もいるので転職の判断は慎重に行う必要があります。では、本格的な転職活動に向けて情報収集を始めるにあたり、心がけておくべきこととは何でしょうか?
この記事では、医師が医局を辞める理由、退局に伴うメリットやデメリット、医局を辞める際の注意点、転職して後悔しないための転職サイトの選び方などについてご紹介します。ぜひご一読ください
医局を辞めるにあたり、ただ闇雲に情報収集からスタートすればよい、というものではあなく、踏むべき一連のプロセス、というものがあります。そうした流れをきちんと踏むことで、より円滑に退職・転職活動を進めることができます。
どんなステップが必要になるでしょうか? 1つひとつご紹介させていただきますので、少しでも円満に退局できるよう、今後のために役立てていただければ幸いです。
医局を辞める切り出し方とは?
誰に伝えるか
退局の意志がかたまったら、「まずは教授に伝える」というのが一般的です。
医局長や直近の上司に伝えたという人の話も聞きますが、「重要な話は教授に」という医局が大半であるように感じます。
ニュアンスが変わって伝わってしまったり、「私は聞いていない!」と教授に言われてしまうのは絶対に避けたいので。
切り出し方
面と向かって「時間をとってください」とは言いにくいと思いますので、メールでアポイントメントをとるのがいいのではないでしょうか。
医局を辞める理由
「大学病院・医局を辞める・離れる」が理由となっていた医師の回答の詳細を確認すると、特に多かったのは「医局人事による負担や不満」となっています。 その他、職場環境・人間関係上の問題や、勤務負担、給与・待遇、診療以外の業務負荷などがあります。
理不尽な人事異動が大変
決して異動=左遷ではありません。多くの場合、異動は定期的にあるもので、悪感情やトラブルを含んだものではなさそうです。
ただ稀に「左遷」と感じざるを得ないような人事を、目の当たりにします。
同世代の医局員と比べて異動の頻度が高かったり、僻地に長くいたり、定年間近でスキルの活かしにくいポストに飛ばされたりといった事態です。
当然ながら「医局上層部のお気に入り」はこういった事態にはなりにくいです。左遷を避けるためにも、医局とはそれなりに良好な関係を築いておきたいものですね。
激務で疲弊してしまう
大学病院や関連病院は、高度かつ最新の医療を行う使命を持っています。その分、長時間労働は免れません。自宅で過ごす時間よりも病院で過ごす時間の方が、圧倒的に長くなります。
「定時?なにそれおいしいの??」
医局員時代はブラック企業も真っ青な長時間労働でした。
志を持って進んだ医療の道ですが、激務に追われるうち、心が疲弊してくるのを感じました。民間病院は分業が進んでいるため、コメディカルができることはやってくれますが、大学病院では何かと医師(特に若手や研修医)に降ってくる雑務が多いです。「果たしてこれは自分がやるべき仕事なのだろうか」と、すさみがちに。
上司や同僚もみんな忙しいからか、職場は殺伐とした雰囲気で、人間関係の煩わしさから解放されたいと思うようになりました。
自分はなによりも家族が大切です。限りある時間を家族のため、自分の幸せのために使いたい。
そこで医局を辞め、仕事と家庭のバランスが取れる職場を探すことにしました。
医局を辞める前に、「自分にとって何が幸せか」を明らかにしておくと、どういう転職先を選ぶべきか見えてきます。
年収が低い
どの年代でも大学病院か、市中病院かによる給料の差は大きいですが、研修医時代は特に地域による給料の差もおおきいです。
都内の大学病院<都内の市中病院=地方の大学病院<<地方の市中病院 という順に給料が高くなっていきます。
具体的な金額で比較すると、平成23年度の研修医の最大年収は約950万円、最小年収は約180万円なので、その差は約770万円弱に及びます。最大と最小で比較しているのもありますが、全然違いますよね。ちなみに、大卒の新卒者の平均年収は200万~250万です。
平均年収で比較すると、大学病院の研修医の平均年収は1年次で300万、2年次で310万、市中病院の研修医の平均年収は、1年次で450万、2年次で500万であり、その差は150~200万近くにおよびます。
後期研修医以降は地域による給料の差は少なくなってきます。
年代別の大学病院の医師の年収は
後期研修医(30歳前後):約300万
専門医(40歳前後):約500万
指導医、部長クラス:約600万
一方で、市中病院の医師の年代別の年収は
後期研修医(30歳前後):約1200万
専門医(40歳前後):約1500万
指導医、部長クラス:約1700万~2000万
見て分かるとおり、全然違いますよね。大学病院の医師の給料が安いといわれる理由が分かると思います。
年代別のサラリーマンの平均年収と同じくらいではありますが、大学病院では自己研鑽という名の時間外業務(サービス残業)が多いため時間単価で考えると医師のが低いと思います。よく先生たちが、病院で一番時給が高い職業はコンビニバイトの店員だと言うほどです。
人間関係が辛い
医師が医局を辞めるきっかけになりやすいのが、人間関係の悩みです。医局に所属する人の価値観はさまざまで「出世したい」「スキルや技術を研鑽したい」「理想の医療を実現したい」など、その目的は人によって異なります。価値観の近い人ほど、親しくなりやすいのは自然なことです。同じような価値観の医師同士がグループや派閥となるため、考え方の違いから競争や対立が起こることもあるでしょう。このように人間関係に疲弊して医局を辞めたいと感じる医師が多いようです。
医局をクビになることもある?
クビは大学病院で言うと除名になりますが、一般病院でもクビ、つまり解雇はあります。これは、どこに勤めようとも勤務している医師である以上、クビへの恐怖は避けられない宿命です。欠勤が多い、ルールを守らないなど自責の場合もありますが、教授や医院長の機嫌を損ねたという理由でクビにされたという医師もいます。一般企業と違い、医者の世界ではあまり発生する事態ではありませんが、生活する上で収入は必要ですし、特に家族を養っている場合は、クビになるわけには行きません。
求人会社においても、さすがにクビが理由である場合、非常に不利な条件になります。クビにされた医者となると病院側も雇いたくありませんから、なかなか異動先が見つからない羽目になってしまいます。
ここは早めの判断が必要なところであり、関係の修復が困難と思われた場合は、クビという決定的なレッテルを貼られる前に、異動してしまった方が良いでしょう。
医局を辞めさせてくれない
あって当然だとは思うのですが、あまりに強すぎるのは問題です。
実際、昔ながらの医局や人手不足の医局では、退局希望者に圧力をかけるようなところが、残念ながら未だにあります。
そんなときの具体的な対処法、考え方について解説していきます。
退職・転職をする権利
まず自身の中で、「退職・転職をする権利がある」ということをはっきりさせることが第一歩です。
絶対に、辞めることはできます。
労働者が退職・転職することは自由で、それを妨害するような行為は許されていません(転職候補先へ悪い情報を流す、転職活動をするための休みを取らせない、退職を認めないなど)。
何年も「お礼奉公」をする必要はなく、14日前までに退職を申し出れば辞めることができます。
14日はさすがに…なので、できれば3ヶ月~半年くらい前には伝えたいものですが。
医局引き伸ばしに対する考え方
「もう少しだけ医局にとどまって、仕事をしてほしい」
こんなことを言われる人も多いでしょう。
実際、引き伸ばしに応じた医局の先輩も何人かいました。それを間近でみた感想として、
「1年待って」と言われて待てるなら、そもそも何も言わずに1年働いて、そのあとスパッと辞めたほうがいいです。
「いずれ辞める人」として扱われるため、お礼奉公という名目でシビアな人事や仕事の割り振りをされることが実際ありますし、転職候補への圧力にも繋がりかねません。
何より、めちゃくちゃ居づらそうでした。
「引き止め、引き伸ばしに応じない決心」をするまでは、そもそも退局をほのめかしたりしないことをおすすめします。
お世話になった人に「あと少しだけ」と頼まれて、揺らぐ気持ちは本当によくわかります
医局からの明確な圧力や妨害
一番の障壁は自分の心
医局を辞めにくい原因として、確かに医局からの明確な圧力や妨害という場合もあります。
ただ実際は、「自分の中の不安や迷いを突かれて、決心がつかない」という状況の方が多いように感じます。
よくある不安や葛藤は、こんなものでしょうか。
・まだ未熟だけど、大丈夫だろうか。
・転職先が良くない職場だったらどうしよう。
・医局の関連病院以外にも、学べる環境はあるだろうか。
・自分は恩知らずではないか。
医師専門の退職代行サービス【退局代理.com】
退局代理.comは、桜井 康統弁護士が展開しておられるサービスで、SNSでも医師の間でよく話題になります。
1.医療人材に特化した退職代行サービスを提供
医療関係者を対象としてサービスを提供しているので、医療現場のリアルな実態を熟知しており、特有のトラブルについても対応が可能である。
2.弁護士が代行業務を行うので安全に退職できる
未払いの給与や残業代、時間外手当などを請求したい場合、別途料金を支払うことで対応してもらえる。
これは一般の退職代行業者では行えないサポートであり、弁護士が直接業務を行うからこそ受けられるものである。
また何らかのトラブルが発生した場合も、代理人として対応してもらえるのも弁護士が運営する退職代行業者を利用するメリットである。
3.即日対応が可能である
相談は24時間365日受け付けており、入金が確認できれば即日対応してくれるので、早く退職したい人にはおすすめである。
退職まではメールや電話で何度でも無料で相談でき、安全に退職することができる。
4.秘密を守ってもらえる
代行業務を行う際、退職の事実などの個人情報を両親を含めて第三者に伝えないように勤務先に伝えてくれる。
医療関係者は転職先も医療系になることが多いが、弁護士からの忠告により、前職を退職代行サービスを利用して辞めたという情報が漏れる可能性は極めて低い。
5.リーズナブルな料金設定
弁護士への依頼というと料金が高いイメージがあるが、退局代理ドットコムは一般退職代行業者並みの料金で業務を行なっており、追加料金はかからない。
請求関係は別途料金がかかるものの、それにより勤務先から支払いが行われればその中から捻出することができるので心配はいらない。
6.非弁退職代行業者とのトラブルの相談窓口がある
弁護士では無い人が退職代行を行なった結果、非弁行為により勤務先の顧問弁護士に損害賠償を請求されるなどのトラブルが発生している。
このようなトラブルを抱えてしまった場合も相談できる窓口を設けている。
【注意点】退局代理ドットコムのデメリット
24時間365日受け付けしているが、支払い方法が公開されていないので即日対応してもらいたい人はタイミングの確認が必要である。
医局に入るメリット
僕は入局してから約8年間、医局員として過ごしました。その後は退局、転職を経験し現在に至ります。
最後は退局してしまいましたが、医局員としての生活にメリットを感じていたことも確かです。
そんな経験を活かして、「医局に入るメリット」についてまとめました。入局するか否かの判断材料の一つになると思います。
派遣や研究、留学など豊富な経験ができる
医局には派遣機能があります。そのため、医師は派遣先の医療機関で診療スキルを磨いたり、留学したりもできます。とくに臨床研究に興味があるなら、大学病院が所有する最新設備を利用できることも魅力の一つだと言えるでしょう。
研究に取り組む環境がある
大学病院は、研究教育機関としての機能も備えています。そのため、基礎研究に加えて珍しい症例や希少疾患の患者さまの治療を実践できる可能性もあります。そういった経験を積みたい医師にとって、医局に所属するメリットは大きいでしょう。
学位や専門医が取得できる
学位(博士号)や専門医の資格は、給与や待遇に関する交渉を有利に進めるための一つの要素になります。とくに専門医は、医局に所属していないと条件を満たすことが難しい場合もあります。
医局でのキャリアアップや転職の選択肢を広げようと考えているなら、学位や資格の取得に注力しやすい大学病院の医局はふさわしい環境だと言えるでしょう。
人脈の構築や情報交換の場ができる
医局員同士のつながりが作りやすいのも、医局に所属するメリットです。医局派遣は数年単位で行われることから、年代の近い医師同士だけでなく、上級医との縦のつながりも作りやすくなっています。
業務やキャリア選択に関する相談はもちろん、海外留学に関する情報収集、開業時には病診連携を打診することもでき、医局に所属しない医師と比較して広い視野や選択肢をもてるのです。
安定した働き方ができる
自身や家庭の事情などから、一時的に診療現場を離れる医師も多くいます。その場合、医局のサポート体制などを利用して復職できることもあります。妊娠出産や介護などによる離職だと、復帰後も時短勤務や業務負担軽減などを交渉しやすいでしょう。現場も代理の医師を医局から派遣してもらえるため、双方にとってメリットがあるのです。加するより、日常的なふとした会話の方が、勉強になったりしますからね。
医局に入るデメリット
自己成長の機会や人脈構築などのメリットがある一方、医局に所属するデメリットもあります。入局を検討する場合には、以下についてもしっかり把握しておきましょう。
医局人事による転勤がある
医局人事によって、基本的に数年単位で転勤の辞令が出ます。また、希望した病院や部署への異動が叶わないケースもあり、医局に対して不満を抱える医師は多いようです。とくに家庭をもつ医師は、医局人事を避けたいと考えることも多いでしょう。
派閥による人間関係に悩む可能性がある
医局には、医師同士の競争や派閥争いがある場合があります。人間関係の煩わしさや理不尽な出来事をきっかけに、医局から離れる医師もいるようです。
給与が上がりにくい
大学病院に所属していると、自院での診療業務や自身の研究、論文執筆だけでなく、非常勤(アルバイト)として派遣先での診療も任されるようになります。そうなるとメンタル・フィジカルともに大きな負担がかかる一方で、大学病院の給与水準は他に比べ低く、上がりにくいのが現状です。
医局を辞めてよかったこと
医局には、最新情報や難しい症例などの知見を得られる環境があります。
しかし、それを捨てて転職をする医師が一定数いるのも事実です。
医局を「辞めてよかった」と感じる医師もいます。
嫌な人事に従う必要がなくなった
医局人事では自分の意にそぐわないような地域への派遣、勤務を余儀なくされるときがあります。
時には理不尽な扱いを受けることも…
もちろんそうしないと地方の医療が成り立たないのも事実です。
でも、だからと言って自分の人生を犠牲にしてまでやらなきゃいけない訳ではありません。
医局を辞めることで無理に強いられていた人事異動から解放されるのは大きいメリットですね。
家族の時間が増えた
自由な時間が増えて、家族といられるようになったのも良かったようです。
特に夫婦で医局に属しておられたC医師は家のことをする時間や家族と過ごす時間が増えて毎日がとても充実しているそうです。
仕事も大事だけど、家族と過ごすかけがえのない時間も手に入ったのは良いことですね。
自分でやりたい仕事をできるようになった
留学のために医局人事に従っていたB医師のように、資格や留学を人質に取られてやりたくない仕事を強いられる場合もあります。
でも留学や資格取得って医局内じゃないとできないことなのでしょうか。
いいえ。
最近は個人で留学をするケースも多いですし、資格も市中病院で取得できます。
だったら医局に属してやりたくない仕事をするよりも、自分の力でやった方や確実じゃないですか?
それにやりたくない仕事で人生の時間を無駄にする必要もなくなります。
医局を辞めたことで自分がやりたい仕事だけに全集中できるのは大きなメリットですね。
医局に入らない割合はいかほど?
大学病院以外の病院で研修を修了した医師のうち「入局する予定はない」という回答割合を比較すると、2013年度(平成25年)の調査では22.7%でしたが、2019年度(平成31年)には26.8%に増加しました。
専門医を取得しないで医局を辞めることについて
自分の専門科、働く予定の場所、働き方で検索してみて「専門医があったら、選択肢が広がるなあ」と思ったなら、専門医を取得する方が良いでしょう。
逆に「専門医あってもなくても、あんまり条件変わらないな」と思ったなら、専門医を無理に取得する必要はないのではないでしょうか。
医局を辞めようか迷っている方の中には、「まだ専門医資格がない」という先生もいるのではないでしょうか。
論文の執筆や必要な症例が集めやすいなど、医局に所属していた方が専門医を取得しやすいのは確かです。専門医を取得してから医局を辞める、という医師が多いのも頷けます。
しかし専門医を取る前に医局を辞めても、プログラムを変更して研修を継続できるケースがあります。
そもそも、医局に所属せず市中病院の専門研修を選ぶ医師もいますしね。
専門医試験を受けるための要件、資格維持や指導医取得のための要件は科によっても異なります。入念に調べておきましょう。